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  3. ユダヤの商法 世界経済を動かす

藤田 田(著) 出版社:KKベストセラー

「ユダヤ」と聞くと何を連想するだろうか?国を持たない・ユダヤ教・お金儲けが上手。色々な側面がある。本書は、ビジネスで成功を収めたユダヤ人から「銀座のユダヤ商人」と呼ばれた著者による、ユダヤ人の思考法・お金儲けに必要な行動を自身の経験を交えて紹介する指南書である。

ビジネスで成功したユダヤ人や著者のエッセンスが詰まった内容であり、商売を志す方・私の様な社会人(営業職)の方にとって、ユダヤ商法に則った成功体験を覗き込むことは、新たな切り口となるであろう。そのルールを適用することは、ユダヤ人を相手にする場合に留まらず、普遍的に使える内容である。

著者を「銀座のユダヤ人」と言わしめ、コミュニテイに入るに至った経緯では、ユダヤ人からの信頼を勝ち取ることが重要であった。そのためにはユダヤ人のマインドを知り、ルールを把握した上で適応することが大切だ。著者自身がGHQでの通訳のアルバイトから、貿易商や宝石商としてデパートでの催事、マクドナルドの日本展開と各タイミングにおいて、ユダヤの商法をふんだんにつぎ込んでおり、いずれも成功に導いている。

ユダヤ商法の列挙となると数十か条に渡る記載となる。特に基礎となる点は、現金主義・徹底した契約主義と白黒主義な点であろう。現金主義に関しては、すべての物事(モノ・サービス・時間)に対して「幾らか?」のものさしを考え、常に価値を考えている。(※価値に関する良書として、合わせてご参考下さい。 https://araraki-continents.com/marketkankakuwominitukeyou/)

契約に関しては、結んでしまえば相手を徹底的に信頼する。ただ、結ぶまではお互いが納得するまで何度もやり取りが発生するし、特に契約不履行となった暁には損害賠償と併せてユダヤコミュニティからの追い出しである。また契約はスムーズに決まらない。契約内容からマージン金額まで事細かに納得するまで議論する。時にはケンカ別れの格好でその日を終えることもある。しかし、ユダヤの考えでは、人間の細胞は1日で生まれ変わるものであり、次の日はケロっと現れ、再び話を始める。そのような肝の据わったメンタルなのだ。

本書の著者である藤田氏は、もともと外交官を目指していたが、関西弁であることが原因で目指すことを諦めてしまう。大阪生まれという差別から生まれた迫害はユダヤの歴史に通ずるものがあり、そこから稼ぐ者こそが正義という考えに惹かれていく。本書は1972年に発行初版であり、現在とは少し異なる時代背景である。しかし、人が持つコンプレックスを原動力に、金を稼ごうと考えるポジティブな側面は時代が変わっても重要となる。

ユダヤと一切関連がなく日本で生活したきた方にとっては、面食らう常識や徹底振りがいくつも出てくる。しかし、そのような側面は学校教育だけでは学べない内容であろう。本書でのユダヤ人の考えや生き方を、そのまま適用することも可能だが、まずは少しずつ、確実に、何度も繰り返すことで自然と身につけていくことから、始めてみてはいかがだろうか。

ユダヤの商法(新装版) 世界経済を動かす [ 藤田 田 ]

価格:1,617円
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